PC-98DO+の内蔵SASIについて調べた過程で「PC-9801のSASIハードディスク」がどのように展開して
いったか分かってきたので備忘録的な意味もかねてここに記録していきます
あまりにも古い情報過ぎてネットで検索しても、知りたい情報はほぼ出てこないので・・・
なお基本的にSASIハードディスクはNEC純正品を指し、サードパーティ製品は取り扱わないこととします
まず「PC-9801とハードディスクの組み合わせ」は初代PC-9801から存在します。NEC純正のSASIインターフェースは
・PC-9801-07→PC-9801無印/E/F/M専用
Cバスボード上にBIOS-ROMを持たず、PC-9801本体の内蔵ディスクBIOSを使用、サポート容量は5MB/10MB/20MB
最大接続ドライブ数2台(合計10MB/20MB/40MB)
PC-9801F3/PC-9801M3はPC-9801-07のカスタムバージョンを搭載していたらしい?(見たことない)
・PC-9801-27→PC-9801U/VM2以降
こちらの方の型番は割とよく知られている。Cバスボード上にBIOS-ROMを持つ、サポート容量は5MB/10MB/20MB/40MB
最大接続ドライブ数2台(合計10MB/20MB/40MB/80MB)
なんと486搭載PC-9801/9821でも使える(さすがにPentium+PCI搭載機では無理ですが)、その際は内蔵IDEハード
ディスクを「物理的に」取り外す必要がある(システムセットアップメニュー切り離しだけではダメ)
直接関係ない事ですがPC-9801-27の1つ前の型番が、あの有名な「PC-9801-26(K) FM音源ボード」からの後年の
PC-9801-86の1つ後の型番であるPC-9801-87が外付けフロッピーインターフェースという同じストレージ系
(SASIとフロッピーと異なるが)という組み合わせは偶然か意図的か気になります
(どうせならSCSIのほうがおもしろかった→PC-9801-92)
・ハードディスク内蔵機種の型番命名規則
詳しくは
UNDOCUMENTED 9801/9821 Vol.2 - SASIインターフェース
をご覧いただくとして
初期の機種(F3/M3/XA31)とHDD標準搭載機種(XL2/GS)以外は
型番に「4」が含まれているものは20MB HDD搭載(例:VM4/UX41/PC-9801RA-34など)
型番に「5」が含まれているものは40MB HDD搭載(例:ES5/RA51/PC-9801DA-35など)
・・・でほぼ統一されているので、どのくらいのディスク容量か分かりやすくなっています
(もちろんハードディスクが抜かれたり交換されてたりして型番の抜け殻みたいになっている例もある)
・外付けハードディスクの型番
これが色んな意味で分かりにくくなっていて、型番から容量が想像できない、1台目か2台目かの区分がある(後述)
検索しても型番が引っかかるだけで容量が書いてないなど、たまにヤフオクなどで出品されますが仕様に関する
一種の混乱のもとになっていますので、ここに一覧を記述しておきます
| 容量 |
1台目 |
2台目 |
| 5MB |
PC-98H31 |
PC-98H32 |
| 10MB |
PC-98H33(K/N) |
PC-98H34(K/N) |
| 20MB |
PC-98H51(N/L/U) |
PC-98H52(N/L) |
| 40MB |
PC-98H53(N/L/U/R) |
PC-98H54(N/L/U/R) |
※1:型番の後ろに付いているアルファベットはHDDの技術革新による性能の向上や価格の低下による販売識別子
※2:参考資料「PC-9800シリーズテクニカルデータブック ハードウェア編」
・PC-9801のSASIとST-506変換
PC-9801のハードディスク(固定ディスク)は初代PC-9801用のPC-98H31から、外付けドライブ内部でSASI→ST506変換を
行っています。ここでST-506とはなんぞや?と思われるので、
wikipediaの該当ページを貼っておきます
<<<早い話がフロッピーインターフェースの信号高速版>>>
インターフェース側でインテリジェントなSASI信号でやりとりし、外付けドライブ内部でレガシーなST-506信号に変換して
ドライブ側とアクセスしていました。1980年代初期~中期はSASI/SCSIのネイティブなドライブが存在しないまたは
安定して調達できないなどの理由で変換したもので対応するアリでしょう
※ただ、NECは当然のように自社でST-506なディスクを製造していたのでこの理由は当てはまらない
外付けSASI(ST-506)ドライブは「1台目」と「2台目」という区分がありました。1台目はSASIインターフェースからの信号を
ST-506信号に変換する変換基板がありST-506信号に変換後ドライブを制御、2台目は1台目のSASI-ST506変換基板を
使用するためにST-506の信号がそのまま流れていました。問題は1台目と2台目の違いが型番とコネクタ数以外で見分けが
つきにくいこと!見た目は1台目と同じケーブル・コネクタ(フルピッチ50ピン)、何なら流れている信号も違う
当時のPC-9801はSASIやST-506のほかに2HDフロッピーコネクタまでフルピッチ50ピンだったので、誤って違うコネクタに
ケーブルを挿してケーブルを燃やす・機器を故障させるなどがあったようです。今ならある意味訴訟もの!
PC-9801ハードディスク搭載機の背面にある「HARD DISK」と書かれた50ピンフルピッチコネクタから出ている信号はSASIではなく
ST-506 2台目用の信号です。この2台目用信号コネクタはNECの純正HDD専用でサードパーティ製品は接続保証はないです
よくわからないままSASIやSCSIのケーブルを接続すると本体かドライブの故障の原因になります(ヘタすると発煙)
・PC-9801 SASIのDISK-BIOSまわり
・PC-9801のST-506変換SASIには「ドライブからの容量取得」や「ベンダ情報の取得」など後のSCSIやIDEで実装されている
機能やコマンドなどは一切ないので、BIOSに渡すディスク情報はすべてSASIインターフェースのディップスイッチで行います
設定できる容量は「5MB」「10MB」「20MB」「40MB」のみ。接続先ドライブが仮に40MBだとしても5MBの設定にすれば
その容量になります。PC-98DO+やPC-9801CS、PC-9801RA(DA)-35など「容量が決まっているドライブ」に関しては
1台目のディップスイッチ設定が固定されているので容量変更できない(2台目は可能=PC-9801RA(DA)-35)
ディップスイッチにセクタサイズ256byte/512byte切替の設定があるが、NECのST-506ドライブは基本的に256byte専用で
512byteに設定するとフォーマットできなかったり、DOS起動時にハングアップしたりするので使えない
PC-9801-27のディップスイッチ情報は
こちらで確認(ページ内でPC-9801-27で検索)
各容量でのDISK-BIOSパラメータ(256byteセクタ)
| 容量 |
パラメータ |
搭載ドライブ |
備考 |
| 5MB |
C=152/H=4/S=33 |
D5214(5.25FH) |
FH=フルハイト(8cm)・HH=ハーフハイト(4cm) |
| 10MB |
C=309/H=4/S=33 |
D5224(5.25FH)/D5124(5.25HH) |
D5124はPC-9801F3で使われた |
| 20MB |
C=614/H=4/S=33 |
D5128(5.25HH)/D3126(3.5HH) |
D5128はPC-9801M3で使われた D3126はVM/VX/UXのHDD搭載モデル採用
|
| 40MB |
C=614/H=8/S=33 |
D5146(5.25HH)/D3142(3.5HH)
| D5146はPC-98XL2で使われた D3142は多数のHDD搭載機で採用 |
じゃあ「絶対に1台あたり40MBを超えられないか?」と言われると、実は裏技を使えばできる
ただ転送速度的に実用になるかどうかは別の話なので
・PC-9801 SASIの転送速度
初期のハードディスクは「フロッピーディスクと比べると夢のような高速性だ」ともてはやされましたが、データの肥大化で
SASIが廃れSCSIが主流になると、MS-DOSアプリケーションでもプログラムサイズが大型のものはさすがに遅さが
目立つようになってきました。ちなみに私的に一番最大のMS-DOSアプリケーションは「Windows3.1」だと思っています(笑)
では実際SASIハードディスクの転送速度がどのくらいかというと、これくらいです(アイ・オー・データINSPECT使用)

これはPC-98DO+の内蔵SASI+PM-DOCE98/DOP Liteの組み合わせで撮ったものですが、これが半導体ではなく
従来の磁気ディスク式SASIハードディスクの場合、転送速度はさらに落ちて160KB/s程度になります
それでもフロッピーディスクの転送速度が15KB~20KB/sなので約10倍「夢のような高速性」なのですが
なので
「余程やむを得ない理由」でもない限り、とっととSASIは捨てて高速SCSIに乗り換えるべきです
とはいえ、PC-98DO+はその「やむを得ない理由」なので、そう簡単に切り捨てるわけにはいかないのですが・・・
・ディスクが壊れた・入手できない時の代替手段
NECもまさか生産終了から10年どころか令和の時代40年近くもSASIハードディスク搭載PC-9801を工場や個人で現役で
使われているとは思わなかったので、当然ながら故障した際の補修部品など入手できるはずもありません
SASI/SCSIに関しては2020年頃から日本・海外で半導体ストレージ+マイコンを使ったストレージエミュレータがいくつか開発されて
います。ただ国産パソコンの場合、規格がまだしっかり定まってない頃に各社独自に機能を変更したり盛ったりしたりした為
海外製パソコンでの動作を想定したストレージエミュレータはそのままでは動かない例がかなりあります。その為の国産パソコン
での動作を前提としたArdSCSinoや変換番長シリーズなのですが他の記事でも散々書いたように、どうしても動作情報の少なさ
と個人メイカーによるハードの供給不足(限界)からなる普及の度合いがいまいち良くない状態が今でも続いています
(PC-98の場合IDE搭載機のCF代替がハードの入手性・動作情報的に比較的やりやすいという理由もある)
ST-506 HDDの半導体ストレージへの代替については現在国産で入手できるものは皆無(過去にはあった=
ランドコンピュータのLST506Bなど)、
海外ではいくつかプロジェクトが進んでいますが、それがPC-9801のST-506変換内蔵SASIに
適用できるかは不明です。たとえ適用できたとしても転送速度が数百キロバイト秒な上に容量制限が40MBや80MBのハード
ディスク代替としてそれなりの導入コストを投入できるかという問題もありますが・・・